(営業時間9:30~18:30)
(24時間受付中)
生活保護のような制度は、海外にもあるってご存知でしたか?
国や現状に違いはあっても、生活に困っている人や低所得者を助けようという動きは各国にあります。
内容を見てみると、生活保護に対する理解がより深まりますよ!
今回は、日本の生活保護制度をはじめ、海外の公的扶助制度をご紹介します。
海外の制度を比較しながらチェックして、日本の生活保護に対する意識をアップデートしましょう!
まずは、日本の生活保護制度をチェックしていきましょう。
生活保護は、日本国内で生活に困窮する方に対し、国が経済的な援助を行う制度です。
対象の年齢制限はなく、申請者の資産や能力を考慮して、最低生活費基準に満たない場合に支給されます。
支給は以下のような内容になっています。
・生活扶助:食費、被服費、光熱費など
・住宅扶助:家賃、部屋代、地代、住宅維持費、更新料、引っ越し費用など
・教育扶助:子どもの義務教育にかかる費用など
・医療扶助:病気やケガをした際の治療・手術・薬などの費用
・介護扶助:介護サービスの費用
・出産扶助:病院や助産施設での出産にかかる費用
・生業扶助:就職するための技能を習得する費用など
・葬祭扶助:お葬式・火葬・埋葬などの費用
このうち、生活費や住宅費は現金、医療や介護はサービスで給付されます。
また、就労支援も各都道府県やハローワークで実施されています。
続いて、海外の公的扶助制度もチェックしていきましょう。
先述した日本の生活保護や、各国を比較してみてください!
イギリスでは「所得補助」という公的扶助制度があります。
対象は16歳〜59歳と規定があり、生活費は現金給付されます。
住宅や介護、医療は他の制度で対応されているので、所得補助の給付内容にありません。
就労支援はジョブセンタープラスという国の機関で、福祉関連給付と個別就労支援を一体的に実施しています。
従来の仕組みでは、稼働年齢にある低所得者向け給付は、社会保険(国民保険)を原則として、「受給権がない人」という限定的な対象でした。
しかし、さまざまな給付がつぎはぎに創られ、制度が複雑化したことによって、統合化する動きが見られています。
フランスの公的扶助には「積極的連帯収入(RSA)」があります。
18歳以上の低所得者を対象に、生活費を現金支給。
イギリスの所得補助と同様に、住宅や介護、医療は他のサービスで対応されます。
また、日本でいうところの県や雇用局という国の機関などで、以下のような就労支援を実施しています。
・県と受給者が社会参入契約を締結し、就職関連活動を義務付け
・県の状況に応じて、社会復帰支援機関などの協力機関が支援
フランスでも社会復帰希望者に対する支援が複雑化。
この支援を一本化すると同時に、扶助対象外の低所得者にも補足的な給付をするために2009年に新制度に移行されました。
ドイツには「社会扶助」という制度があります。
日本と同様に対象は生活に困窮する方で、年齢制限はありません。
給付内容も以下のように似ています。
・生活費・住宅費は現金給付
・医療・介護は必要なサービスを提供
就労支援は雇用エージェンシー(旧連邦雇用庁)が実施。
対象者と雇用エージェンシーとの間で統合協定を結び、職業相談や職業訓練などの支援サービスや現金給付を受けられるようになっています。
スウェーデンにも「社会扶助」という名称で制度があります。
対象は18〜64歳で、生活費や住宅費は現金給付。
医療や介護は他のサービスで対応となっています。
給付と就労支援の実施、財源の負担もコミューン(市)で負います。
また、就労支援を拒否すると保護が停止するようになっています。
社会サービス法によって、コミューンが社会保障の最終責任を負う形になっているのが特徴です。
アメリカの公的扶助には、貧困家族一時扶助(TANF)があります。
未成年(概ね18歳未満)の児童や、妊婦のいる貧困家庭が対象になっています。
現金給付や所得税額軽減などといった形態や水準は、州によって異なっているのが特徴です。
給付実施機関や調査、就労支援なども各州に任せられています。
就労支援の内容としては、この制度自体が就労促進目的があり、「給付開始から2年以内の就労義務付け」「60ヶ月の受給制限」などの規定があります。
また、アメリカの他の扶助は以下の通りです。
・補足的保障所得(SSI):高齢者や障害者を対象に現金給付
・メディケイド:低所得者を対象にした医療扶助
・フードスタンプ:低所得者を対象に食料や生活必需品購入用カードを支給
海外の公的扶助制度の比較からは、日本の公的扶助制度の特徴や現状が明らかになります。
たとえば、日本の生活保護給付の水準は国際比較的に見ると高いとされています。
しかし、社会手当を含めた純所得においては、日本の公的扶助の水準は低いとされているのです。
さらに、日本の生活保護制度では、住宅や医療、教育、就業支援など、個別に支給される点が特徴的とされています。
海外と比較したときに、包括的かつ体系的な制度設計が行われていることがわかります。
また、日本の公的扶助制度は他国と比較して捕捉率が低いのも特徴です。
生活保護を利用する資格がある方のうち、実際に利用している方の割合は2割〜3割程度で、保護から漏れている方が多いことも懸念されます。
日本には生活保護制度がありますが、海外にもさまざまな公的扶助制度があります。
その多くは生活に困窮した人を支援するためにあり、低所得者のための政策なのです。
海外と比べると、日本の生活保護制度は住宅や医療など個別に支給される仕組みが特徴的といえます。
本記事を参考に、日本の生活保護に対する理解をより深めてみてくださいね!