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生活保護を申請する時、高いハードルとなるのが「扶養照会」です。
扶養照会とは、生活保護申請者の親族に向けて「申請者を援助できないか」の確認を取る書類をいいます。
扶養照会があることで、生活保護の申請を断念する人も多いようですが、断ることはできないのでしょうか?
また、身内から扶養照会が届くと、親族は必ず扶養しなくてはいけないのでしょうか?
今回は、生活保護の扶養照会について、申請者が断る場合と親族が断る場合、どちらも丁寧に解説していきます。
扶養照会が嫌で生活保護を諦めようと考えている方や、いきなり親族から扶養照会が届いてどうしたらいいか困っている方、両者とも必見です!
まずは、生活保護の扶養照会について、対象者や必要性について解説します。
扶養照会の対象となるのが、申請者からみて3親等以内の親族です。
3親等以内の親族とは、以下の親族を指します。
非常に幅広いことがわかります。
なお、子どもの配偶者やきょうだいの配偶者などは扶養照会の対象者に含まれません。
生活保護を申請し、審査を受ける際、原則として必ず扶養照会が行われます。
では、どうして扶養照会を行う必要があるのでしょうか。
その理由は、生活保護の条件確認のためです。
生活保護の条件は、「資産がないこと」と「収入が最低生活費以下」、さらに「援助してくれる親族がいないこと」があげられます。
この「援助してくれる親族がいないこと」を証明するために扶養照会を行うのです。
生活保護から支給されるお金は、国民の税金なので、自分や親族間で解決できるならそうしてほしいという考えは当然です。
扶養照会は「援助してくれる親族は本当にいないのか」を確定するために、必要な行程といえます。
また、扶養照会は不正受給防止のためにもなります。
扶養照会がなければ、隠れて親族から支援を受けつつ、生活保護を全額受給することもできます。
扶養照会で親族の生活保護申請を確認できれば、それを防止することが可能です。
扶養照会は生活保護申請において重要な手続きではあるものの、その厳格な要件が、困窮状態にある申請者にとって大きなハードルとなります。
その結果として、申請自体を断念せざるを得ない状況を生み出してしまうのは、決して望ましいことではありません。
生活保護を申請する人は絶対に扶養照会を受け入れなければいけないのでしょうか。
じつは、申請者は正当な理由があれば、扶養照会を拒否できます。
ここからは、申請者が扶養照会を拒否できる場合についてご紹介します。
1つ目は、配偶者や親などの親族からDVや虐待を受けている場合です。
扶養照会を行うことで、申請者の住所が特定されたり、DVや虐待が酷くなる可能性があるからです。
申請者は、DVや虐待を受けていることを担当ケースワーカーなどに相談し、扶養照会を送らないように希望しましょう。
2つ目は、扶養照会の対象者と金銭トラブルがある場合です。
例えば、借金を重ねている場合や相続で揉めている場合などが考えられます。
扶養照会を行うことで、親族間のトラブル悪化が予想されます。また、金銭トラブルがあると、金銭的援助をしてもらえる可能性が低いという理由もあります。
こういった事情がある時も、担当ケースワーカーに事前に伝えておきましょう。
最後は、扶養照会の対象者からの扶養が期待できない場合です。
例えば、10年以上連絡を取っていない親族やトラブルによって縁を切った親族、専業主婦で収入がない親族、社会福祉施設に入所中の親族などです。
扶養照会を送るか送らないかの判断は、福祉事務所によって異なりますが、まずは、担当ケースワーカーに相談し、扶養照会を送らないように掛け合ってみるのが大切です。
扶養照会が拒否できることはわかりましたが、口頭で伝えるのが難しい、福祉事務所の担当者に言いくるめられないか不安、という方もいるでしょう。
そういった方は、以下のような扶養照会に関する申出書の提出がおすすめです。
https://tsukuroi.tokyo/2021/04/20/1551/
こちらの書類を作成したのは「つくろい東京ファンド」です。
生活困窮者への支援を行っており、生活保護の扶養照会に関する運用改善を求めてきた団体でもあります。
参考URLでは、具体的な記入例も示してくれています。
また、個人的に弁護士へ依頼する方法もあります。
場合によっては付き添いも行ってくれるため、安心です。
費用を抑えるためには、法テラスに相談するのが良いでしょう。
一方で、生活保護の扶養照会が届いた親族は扶養を拒否できるのでしょうか。
結論からいうと、生活保護の扶養照会が届いても強制ではないため、断っても構いません。
ペナルティやデメリットもありません。
では、肝心な断り方はどうしたらいいのでしょうか。
扶養照会で聞かれることから、断り方、注意点までをご紹介します。
扶養照会には、「精神的な支援の可否」と「金銭的な支援の可否」「親族の収入」を問う書類が届きます。
「精神的な支援の可否」とは、金銭的支援以外の声かけなど、精神的な支えができるか、という意味です。
生活保護受給者は、病気の治療中や求職中など働けない事情がある人がほとんどです。
そういった人にとっては、金銭的支援だけでなく、精神的な支援も大切になります。
もし可能であれば、週何回、電話やメールの連絡ができるか、もしくは訪問できるかなどを記します。
また、「金銭的な支援の可否」では、金銭的な支援が可能なのか、可能であれば、具体的に毎月いくらできるか、金銭なのか、物品なのかを詳細に記します。
さらに、親族本人の収入を記す箇所もあります。
収入を記す箇所は、無記入でも問題ありません。収入をわざわざ調べられることもないため、安心してください。
できる範囲で記入するよう心がけます。
さて、肝心の断り方ですが、「扶養したくない」という理由でも構いません。前述しましたが、扶養照会には強制力がないからです。
金銭的に扶養できる余裕がない場合でも、金銭的に余裕があるのに扶養したくない場合でも、どちらでも大丈夫です。
扶養照会は基本的に返送するべき書類です。しかし、どう書いていいかわからないなどで、無視してしまう場合も少なくありません。
書類を無視した場合は、扶養の意思はないと見なされます。
ただし、早く返送しないとその期間、扶養の可否が不明となるため、申請者の生活保護の認定が遅れてしまいます。
申請者のことを思うと、早めに扶養できないと記入して返送するようにしましょう。
もし扶養照会を了承する場合は、継続的に援助できるかをしっかり考える必要があります。
援助することで、自分の生活が困窮するなら元も子もありません。また、途中で援助ができなくなった場合、申請者の生活がより困窮状態に陥ります。
扶養を了承する場合は、自分の家計を考えて、計画的に支援するように注意してください。
また、親族が援助することで申請者の収入が増える訳ではないことを理解しましょう。
例えば、支給される生活保護費が13万円だった場合、親族が毎月5万円を援助すると、生活保護費は援助分の5万円が減額されます。
つまり、親族が援助しても生活保護受給者は収入が増えることなく、手元に残る金額は同じなのです。
援助する親族側の家計に大幅な余裕があるのならいいですが、そうでない場合、ただ援助する親族の負担が大きくなり、援助される生活保護受給者も収入が増えません。
これを理解した上で、援助するかを検討しましょう。
さらに、生活困窮者の親族を援助する場合は、必ず福祉事務所に報告してください。
もし扶養照会の時点で援助できず、途中から援助を開始した場合も、福祉事務所に報告します。
黙って援助した場合、生活保護受給者にとって不正受給となるからです。
本来は生活保護受給者側が収入申告するのですが、もし忘れているようであれば、指摘してあげましょう。
不正受給となれば、生活保護費の返還が求められ、最悪の場合、生活保護の打ち切りの可能性も出てきます。
注意しましょう。
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今回は、生活保護の扶養照会について、申請者が断る場合と親族が断る場合、どちらも解説しました。
生活保護の申請者に、以下のような場合があれば断ることができます。
扶養照会を断る場合は、口頭でも構いませんが、上手く伝えられるか不安な場合、書類を用意して提出しましょう。
弁護士に相談し、書類作成や付き添いなどを行ってもらってもいいかもしれません。
ただし、費用を抑えるために法テラスなどで相談するのがおすすめです。
また、反対に扶養照会が届いた親族が断ることもできます。扶養照会の書類にある「収入」は書かなくても問題なく、さらに断る理由が「扶養したくない」でも可能です。
扶養照会には、強制力はなく、収入や資産を調べられるなどのデメリットもありません。
もし扶養を了承する場合は、継続して援助できるかを慎重に考え、受けるようにしましょう。
中途半端な気持ちで受けると、お互いに生活困窮状態に陥る恐れがあるため、注意が必要です。
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