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新型コロナ流行が落ち着き、経済は回復してきたとはいえ、物価高騰により生活が苦しいと感じる人も少なくないでしょう。
日本では、その国の生活水準を下回る相対的貧困率が高く、2021年には先進国の中で最悪の15.4%となり、大きな話題になりました。
メディアでよく目にする「貧困家庭」も今や珍しくはありません。
今回は貧困家庭について、年収から食費などの身近な例、支援制度までを解説し、最後に、貧困家庭への民間の取り組みをご紹介します。
まずは貧困家庭とはどんな家庭のことなのか、日本の現状をみていきます。
貧困家庭とは、国民年間所得の中央値を基準に50%に満たない人のことをいいます。
厚生労働省によると、手取り年収が
といわれています。
単身世帯だと1ヶ月の手取りは10万円少し、4人世帯だと20万円少しになります。ここから家賃や食費、日用品、光熱費などを支払うとほとんどが手元に残らないことが想像できます。
実際に、厚生労働省が2022年に行った「国民生活基礎調査」では、貯金が100万円未満の世帯は全世帯で18.7%と約5人に1人、「貯金がない」と答えた人が11%で約10人に1人でした。
さらに、貧困が深刻な母子世帯では、貯金が100万円未満の人は41.6%と2人に1人でした。
では、貧困家庭は日本にはどのくらいいるのでしょうか。
相対的貧困率から考えてみましょう。
相対的貧困率とは、国が定めた貧困線を下回る収入しか得ていない割合をいいます。つまり、貧困家庭の割合です。
日本の相対的貧困率は15.4%(2021年)です。
1億2500万人(2022年)の人口で考えると、約2000万人、日本人の6人に1人が貧困ということになります。
例えば、40人クラスの学校で6人が貧困だと考えると、かなり深刻な状態だとわかります。
生活する上で、とても重要なのが食費です。
物価高騰により食費も大幅に値上がりし、どの家庭でも苦しい状況にあると思います。
特に、貧困家庭では食費に使えるお金は限られてきます。
フードバンク「グッドごはん」に取り組む認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンで行った調査では、利用者(ひとり親家庭)の1ヶ月にかかる食費が
という結果でした。(データ引用:「ひとり親家庭の食生活と労働時間アンケート」)
なお、家庭の平均人数は2.89人です。
例えば、3人家族で月3万円の食費だと考えると、1日1人約320円、1食にかけられる食費は約110円です。
一方で、総務省が行った2022年「家計調査年報」では、4人家族の1ヶ月あたりの食費平均は、約8.8万円で、1人あたり1日約700円、1食にかけられる食費が約230円です。
平均と約100円以上の開きがあることがわかります。
また、グッドネーバーズ・ジャパンの調査では、保護者の半数以上が1日1〜2回と食事回数を減らしていること、休日は約40%の子どもが1日の食事を2回しかとれていないことがわかっています。
貧困家庭で特に危惧されるのが子どもの貧困です。
子どもの貧困では、特にこれからの未来に向けての大きな問題が生じます。
ここでは、貧困によって生まれる問題点についてご紹介します。
貧困家庭とそうではない家庭で生まれるのが、教育格差です。
昨今では、子どもの習い事は一般的になっています。
しかし、貧困家庭では習い事の料金が払えず、その分の格差が生じます。
ソニー生命が行った「子どもの教育資金に関する調査2022」によると、習い事や塾などにかかる費用の平均は月額14,429円です。
貧困家庭にとって、これだけの金額を毎月支払うのは容易ではありません。
教育格差が生じることで、将来への働き方にも格差が生じてくるのです。
特に問題視されているのが、貧困の連鎖です。
貧困の連鎖とは、親世帯が貧困層の場合、子どもも貧困に陥る可能性が高いという負の連鎖を言います。
実際に、厚生労働省は「生活保護世帯の子どもが、大人になって再び生活保護を受給するというケースも多数」であることを危惧し、貧困の連鎖を防止する対策を行っています。
貧困の連鎖は、一見、貧困家庭だけに関係しているように思えます。
しかし、貧困家庭が連鎖し続けることで社会的にも大きな損失へと繋がります。
所得が低い貧困家庭がそのままの状態であれば、税金などの支払いが増えません。
つまり、社会保障などの財政収入が増えないということです。
2016年に行われた日本財団子どもの貧困対策チームの調査によると、貧困家庭を放置することによる社会的損失は約40兆円にのぼります。(参考:日本財団子どもの貧困対策チーム『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』文春新書、2016)
この数字を見ると、貧困でない家庭にとっても、決して他人事ではないことがわかります。
貧困家庭への就労支援や教育支援は、貧困家庭ではない層にとっても非常に重要な事柄です。
では、そんな貧困家庭の支援制度にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、貧困家庭への支援制度をご紹介します。
生活困窮者自立支援制度とは、経済的に困窮し最低限度の生活を維持できないおそれがある人への支援制度です。
生活困窮者自立支援制度には、
などの取り組みがあります。
相談窓口は自治体によって異なります。以下のURLを参考にお住まいの窓口を探してみてください。
生活保護とは、生活に困窮する人へ最低限度の生活を保証する制度です。
最後のセーフティーネットと呼ばれ、生活困窮者自立支援制度を利用してもなお生活が困窮する場合に利用できます。
一定の条件はあるものの、生活の自立を目指す間にさまざまな扶助や加算が受けられます。なお自治体や世帯人数、状況によって支給額が異なります。
窓口は各自治体の福祉事務所です。
貧困が特に深刻なひとり親世帯への支援として、児童扶養手当があります。
全ての子育て世帯に支給される「児童手当」とは別に、児童扶養手当は母子家庭、父子家庭などのひとり親世帯に支給されます。
所得制限はありますが、児童1人の全額支給で毎月約4万円と金額も大きいため、ひとり親世帯にとっては重要な支援となるでしょう。
最後に、貧困家庭への民間の取り組みをご紹介しましょう。
1つ目は、フードバンクです。
フードバンクは基本的に生活困窮者や子育て世帯、ひとり親家庭などが食べ物の支援を受けられる取り組みです。
貧困問題の解消と、フードロスにも繋がります。
個人から食品を集めるだけでなく、企業や農家が廃棄予定の食べ物をフードバンクへ寄付し、成り立っています。
もらえる条件は団体によって異なるので、気になるフードバンクがあれば問い合わせてみましょう。
2つ目は、炊き出しです。
ホームレスなどの生活困窮者に向けて、温かい食事を公園などで提供します。
ホームレスだけでなく、生活に困っている人なら利用可能で、年齢や性別も問わない場合がほとんどです。
事前にインターネットで告知されたり、地域の掲示板にポスターが張り出されるなどで情報を得られます。
栄養価の高い食べ物を炊き出ししていることが多いため、食べ物に困ったら利用しましょう。
ただし、生活に困窮していない人が節約などの目的で参加するのはマナー違反となるため、注意が必要です。
3つ目は、子ども食堂です。
子ども食堂は地域のボランティアによって成り立っています。
貧困家庭だけでなく、夜遅くまで親が仕事をしており、晩ご飯を1人で食べる子どもであっても参加できるのが特徴です。
また、団体によっては地域交流のために子どもだけでなく、高齢者も参加できます。
貧困家庭では、教育格差だけでなく、体験が少ない体験格差も生じます。
しかし、子ども食堂は地域の人と交流することで、体験格差を埋める役目も果たしているのです。
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今回は貧困家庭について、年収から食費などの身近な例、支援制度までを解説し、最後に貧困家庭への民間の取り組みをご紹介しました。
貧困家庭とは、国民年間所得の中央値を基準に50%に満たない人のことをいいます。食費も平均より100円ほど安く、回数を減らしている人も少なくはありません。
また、貧困家庭は連鎖によって、社会に大きな損失をもたらすことがわかっています。
つまり、その家庭個人のことではなく、社会全体の問題として捉えるべき事柄です。
支援制度としては、生活困窮者自立支援制度や生活保護、児童扶養手当、民間の取り組みでは、フードバンクや炊き出し、子ども食堂が利用できます。
誰もが生活に困窮する可能性があります。時には、このような制度に頼ることも大切です。
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