日本の貧困率が高いのはどうして?現状とその理由を解説!

近年「日本の貧困」という言葉をメディアでよく耳にするようになりました。

日本の貧困率は、G7(主要7カ国)で最悪の数字であり、国内だけでなく、世界的にみても日本の貧困率が高いことがわかります。

では、日本の貧困率が高くなった理由は一体どこにあるのでしょうか?
今回は日本の貧困率が高いのはどうしてなのか、その現状を紹介し、理由について考えていきます。

日本の貧困率の現状は?

「日本の貧困率は高い」と聞いても、周囲の年収や生活などは見えにくく、どれだけ貧困に苦しむ人がいるのかわからないという人も多いでしょう。

まずここでは、日本の貧困率の現状についてご紹介します。

日本は相対的貧困

貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があります。

「絶対的貧困」は、住む家、着るもの、食べるものさえない、生きることが困難なくらいに貧困な状態をいいます。

開発途上国で起こっている貧困問題はこちらにあたります。

一般的に「貧困」と聞くと「絶対的貧困」を思い浮かべる人が多いでしょう。

一方で、「相対的貧困」とは、その国の水準で比較して多くの人よりも貧困な状態をいいます。

例えば、必要な家電が買えない、子どもが修学旅行に行けないなどが考えられます。

日本の貧困は、相対的貧困に当てはまります。最低限の生活はできるため、一見わかりにくいのが特徴です。

日本人の約6人に1人が貧困

日本の貧困率は2021年の「国民生活基礎調査」によると15.4%でした。つまり、約6人に1人が貧困であるといわれています。

この15.4%という数字は、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダのG7の中で最も悪く、また、同じアジアの韓国や台湾よりも悪い状況にあります。

日本の貧困は世界的に見ても深刻で、尚且つ他人事ではありません。

ひとり親世帯の貧困はさらに深刻

特に、貧困率が高いのはひとり親世帯です。

ひとり親世帯の貧困率は50.8%で、2世帯に1世帯は貧困といえます。

中でも母親と子どもの母子家庭は非正規雇用で低所得の場合が多く、食事の回数を減らさないといけないほど、非常に深刻です。

日本の貧困率が高いのはどうして?

では、どうして日本の貧困率が高くなってしまったのでしょうか。

ここからはその理由について考えていきましょう。

理由① 給料が実質上がっていない

1つ目は、給料が実質上がっていないからです。

国税庁が2022年に行った「民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均給与は458万円でした。

コロナ前の2019年は438万円だったため、ここ数年で平均給与は微増しています。

しかし、健康保険や介護保険、年金などの社会保険料は増加傾向にあり、給与から天引きされ手取り額は減少しています。

さらに、消費税の増税や物価上昇も加わり、給料は実質上がっていないといえます。

理由② 非正規雇用の増加

2つ目の理由は、非正規雇用の増加です。

労働力調査」によると、2005年に1,634万人いた非正規雇用は、2022年には2,101万人と1.3倍にもなりました。

非正規雇用は正規雇用よりも時間の融通がきくというメリットがありますが、正規雇用と比べると収入が低い傾向にあります。退職金ももらえない場合がほとんどです。

また、企業が人件費を削減する際には1番に雇用を打ち切られる可能性があります。

安定した雇用形態ではないため、非正規雇用を転々としている人も少なくないでしょう。

理由③ ひとり親世帯の増加

3つ目の理由は、ひとり親世帯の増加です。

前述でひとり親世帯の貧困が深刻なことを紹介しました。

そんなひとり親世帯は近年、増加傾向にあります。

1983年に88.5万人だったひとり親世帯ですが、2021年には134.4万人に増加、特に母子家庭が119.5万人とかなりの数字をしめています。

母子家庭の平均年間収入は272万円で、父子家庭の518万円より約250万円も下回っており、貧困に陥りやすいことがわかります。(データ引用:厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」)

理由④ 高齢化

4つ目の理由は、高齢化です。

日本の高齢化はどんどん進行し、1950年には人口の5%だった65歳以上が、2019年には28.4%に達しています。(データ引用:総務省「人口推計」)

内閣府によると、2065年には38.4%に達し、国民の約2.6人が65歳以上という現在の超高齢社会の上をいく状況が予想されています。

高齢になると、健康の都合上、働けない人が増えます。それに加えて、介護や医療費にかかるお金が必要になり、経済的な負担が増加します。

実際に厚生労働省によると、生活が困窮した人の最後のセーフティーネットである生活保護の受給者は高齢者に多く、54.1%と高い割合です。

今後、非正規雇用で年金を十分に受け取れない層が高齢者となり、働けなくなった際には日本の貧困率がさらに悪化するのではと危惧されています。

まとめ

今回は日本の貧困率が高いのはどうしてなのか、その現状を紹介し、理由について考えました。

日本は相対的貧困で、貧困率は15.4%、約6人に1人が貧困だといえます。

ひとり親世帯、特に母子家庭の貧困率は深刻で、2世帯に1世帯が貧困状態にあります。

日本の貧困率が高い理由は「給料が実質上がっていない」「非正規雇用の増加」「ひとり親世帯の増加」「高齢化」などが考えられます。

今後ますます心配される日本の貧困。

もし自分が貧困に陥った場合、どういった支援制度があるかなどの情報収集が大切です。

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