生活保護の不正受給が通報されたらどうなる?悪質だと刑事告訴の可能性も

時々ニュースなどで目にする生活保護の不正受給。

生活保護のイメージを悪くしている1つです。

生活保護の不正受給は知人や近所の人の通報などでバレる可能性があります。

今回は生活保護の不正受給が通報されたらどうなる?刑事告訴の可能性についてご紹介していきます。

生活保護の不正受給とは

はじめに、生活保護の不正受給とはどんなケースが考えられるのか、ご紹介しましょう。

ここでは主な3つをあげますが、これ以外にも不正受給になるケースはたくさんあります。担当のケースワーカーにその都度相談することを心がけましょう。

収入を申告していない

生活保護の不正受給で最も考えられるのが収入を申告していないケースです。

生活保護受給者でも一定の範囲内で働くことは許されています。ただし、その収入はどんな金額であっても必ず申告しなくてはいけません。

それがたとえ1000円未満だったとしてもです。

ケースワーカーは生活保護受給者の家に抜き打ちで訪問する場合があります。しかし、稼働時間は日中に限られます。

そのため、夜、ケースワーカーの訪問がない時間帯に隠れて働こうとする生活保護受給者も少なくはありません。

バレていないと思っても、周りの人は意外と見ているもの…通報される可能性も大いにあります。

もし収入を得た場合は、確実に申告するようにしましょう。

また、働いて得た収入だけでなく、給付金や手当、人からもらったお金、企業からのキャッシュバックなど、何かしらのお金が入った場合も申告する必要があります。

これは収入に入るのか?と疑問に思った際は必ずケースワーカーに相談しておきましょう。

資産を申告していない

さらに考えられるのが、資産を申告していないケースです。

生活保護受給者は資産を持ってはいけないと決められています。受給前には銀行口座など調べられますし、受給中にも定期的に調査が入ります。

しかし、見えないところで隠し持とうとする生活保護受給者もいます。

例えば、自動車です。

生活保護受給者は自動車やバイクの保有を原則として認められていません。一部例外はあるものの、黙って保有していれば、これもまた不正受給となります。

ケースワーカーの気づかないところに駐車しているからバレないと安易に考える人もいるかもしれません。しかし、これもまた通報されると簡単にバレてしまいます。

福祉事務所は生活保護法に基づいて、国土交通省の自動車登録ファイルを照会することができるためです。

嘘偽りなく正直に申告するようにしましょう。

同居を申告していない

生活保護は世帯ごとに受給することができます。

そのため、世帯員の名前や収入についても申請する必要があります。

しかし、生活保護受給中に申請していない同居人が増える可能性も考えられますよね。

その場合、同居人が恋人など家族ではなかったとしても、ケースワーカーに伝えなければいけません。

また逆に、自分の家に住まずに恋人の家に住んでいる場合も不正受給が疑われます。生活保護は誰かの援助がある場合、支給対象とならないためです。

世帯員に変化があった場合や他の人に援助してもらえるようになった場合は、すぐにケースワーカーに報告しましょう。

生活保護の不正受給が通報されたらどうなる?

さて、これらの不正受給を誰かに通報されたらどうなるのでしょうか?

ここからは生活保護の不正受給が発覚した場合をご紹介します。

生活保護の打ち切り

第一に考えられるのが、生活保護の打ち切りです。

不正受給であっても、故意でなかった場合と故意で悪意のある場合が考えられます。

もし故意で悪意があると判断されると、生活保護は打ち切りとなります。

また、その後に生活保護の受給対象となった場合、たとえ本当に条件を満たしていたとしても、受給の許可がおりにくくなってしまいます。

生活保護の返還

不正に受け取っていた生活保護費は返還が求められます。

短期間ならまだしも、長期間の不正受給であればかなり高額の返還額となります。

不正受給によって発生した返還額は自己破産することができないため、必ず支払っていく必要があります。

また、指示に従わない、明らかな嘘があるなど悪質な不正受給の場合、徴収額に4割を加算した金額の支払いが求められることもあります。

刑事告訴

悪質な不正受給の場合、刑事告訴される可能性も出てきます。

例えば、虚偽の申告を繰り返していたり、返還に応じないなどの態度をとった場合に悪質な不正受給だと判断されます。

生活保護違反の場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。

また、非常に悪質な場合、詐欺罪が成立する可能性もあり、その際は10年以下の懲役と定められています。

【生活保護】不正受給の事例は?数年前の不正受給でも逮捕

不正受給を甘くみていると、とんでもないことになってしまうことがわかりましたね。

ではここからは不正受給の事例を3つご紹介していきます。

事例① 北海道

まずは2024年2月に報じられた北海道札幌市南区での不正受給です。

警察や市区役所によりますと、2020年2月から6月までの間、男は無職と届け出ていたにもかかわらず、派遣会社で勤務し、本来の受給額(合計約7万円)よりも約39万円高い約46万円を振り込ませ、だまし取った疑いがもたれています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e040a81d502a098d9f77a95829caaf662bdbb418

この男は偽名を使って派遣会社で働き、他人名義の口座に給与を振り込ませていたようです。とても悪質ですね。

この男は現在、派遣社員として自立していたようですが、この逮捕で職を失ってしまうことが予想できます。約39万円のせいで、本当に勿体無いですね。

事例② 京都府

次は、2024年1月に公表された京都府山科市の不正受給で、容疑は以下の通りです。

被保護者が、新型コロナウイルス感染症対応休業支援給付金及び緊急小口資金特例貸付を得ていたにもかかわらず、山科福祉事務所に適切に申告することなく、令和4年4月1日から令和4年6月17日までの期間、3回にわたり、不正に生活保護費を受給した詐欺罪(刑法第246条)の容疑。

https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000319345.html

収入を隠したのではなく、給付金を申告しなかったパターンでの不正受給です。

不正受給額は約22万円です。不正受給での逮捕って100万円以上の高額なものばかりかと思っていましたが、じつはそうでもないんですね。

頑張って働けば返せるお金ではありますが、逮捕となると失うものが多すぎます。

事例③ 埼玉県

最後は、2024年3月に報道された埼玉県新座市での不正受給です。

2017年5月9日と翌18年7月27日の2回、自宅で市福祉事務所職員に対して、就労により収入があるにもかかわらず、収入がない内容の虚偽の収入申告書などを提出。17年6月から20年6月までの間、男の口座に計64回にわたり、37カ月分の生活保護費計約496万6千円を振り込ませ、だまし取った疑い。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b6d1f06e06230d8d4386a889b66db5b078b0d8f4

大変高額な不正受給ですが、不正受給を行った時期は7年も前です。

バレずに逃げ切れると思って行った不正受給でも、数年後に発覚して逮捕される可能性は大いにあるということです。

不正受給を甘くみずに、嘘のない生活保護受給を行いましょう。

まとめ

今回は生活保護の不正受給が通報されたらどうなる?刑事告訴の可能性についてご紹介しました。

生活保護の不正受給は、収入を申告しない、資産を申告しない、同居を申告しないなど、すべきことをしていない場合に判断されます。

不正受給が通報で発覚すると、生活保護の打ち切り、返還、悪質な場合、刑事告訴まで行われてしまいます。

ちょっとした出来心で不正受給となってしまわないように、申告すべきことは申告して、正しく生活保護を受給しましょう。

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