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生活保護は、最低限度の生活を確保するために存在するセーフティーネットです。
そのため、生活保護以外に最低限度の生活を確保する方法が見つかった方や、何らかの理由で確保する必要性がなくなった方への生活保護費の支給は停止されます。
本記事では生活保護の廃止とは何かを中心に、廃止の主な理由や廃止後の注意点をまとめました。
生活保護の廃止とはどのような状態を指すのか、気になる方も多いはずです。
本項目では、生活保護の廃止や廃止までのプロセスについてまとめました。
生活保護の廃止は、「被保護者が保護を必要としなくなった状態」を指します。
生活保護法第26条において、「保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、速やかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。」と定められています。引用:e-COV法令検索
各自治体にある福祉事務所は生活保護受給者の状況を踏まえ、「保護の必要がない」と判断すれば、速やかに生活保護の停止もしくは廃止を決定し、受給者に伝える流れです。
生活保護がいきなり廃止になるケースは、生活保護受給者の死亡や不正受給といったケースです。
一方で、臨時収入によって一時的に生活保護費を上回る収入を得た場合は即廃止にはならず、まずは、生活保護の停止がなされます。
生活保護の停止後、おおむね半年の間、生活保護の必要性がないと判断されると、廃止が決定します。
しかし、経済的に自立したと判断されて一時的に停止されても、再度経済的に困窮すれば生活保護が再開される形です。
生活保護が廃止になるケースはさまざまあります。
本項目では生活保護が廃止になる主な理由をまとめました。
生活保護が廃止になる理由で圧倒的に多いのは、生活保護受給者の死亡です。
2021年度では生活保護が廃止になったケースのうち、47.8%が生活保護受給者の死亡によるものでした。参照:厚生労働省
2021年度の生活保護受給世帯はおよそ164万世帯ですが、そのうち90万世帯が高齢者世帯です。
生活保護を受給していた高齢者が亡くなるケースが増えていることが要因と言えます。
就労に伴って収入が増加し、生活保護の廃止につながるケースは徐々に少なくなっています。
2017年度は18.1%でしたが、2021年度になると14.5%まで減っている状況です。参照:厚生労働省
経済的に自立する形で生活保護が廃止になるケースは、現状では多いとは言えません。
2020年度から生活保護が廃止になる理由として、指導指示違反や逮捕・勾留が追加されました。
2021年度においては指導指示違反は0.9%、逮捕・勾留は1.7%とあまり多くありません。参照:厚生労働省
ケースワーカーの指示に従わなかった結果、生活保護が廃止になったケースは少ないことがわかります。
生活保護が廃止になった後、注意すべき点が2つあります。
本項目では、上記の注意点についてまとめました。
生活保護受給者が就労に成功し、生活保護が廃止になった後に支給されるのが就労自立給付金です。
就労してからおおむね半年間以上、最低限度の生活を維持できる収入を確保し続けた場合に生活保護の廃止が決まります。
就労自立給付金は「保護廃止月から前6か月間での収入充当額」が対象です。
収入充当額とは、就労で得た収入から勤労控除や経費を差し引いて残った額を指します。
就労自立給付金として受け取れる金額は以下の通りです。
同じ収入充当額でも単身世帯か複数世帯で微妙に就労自立給付金の額が異なるケースがあります。
また、支給額には下限があり、単身世帯は2万円、複数世帯は3万円を受け取れるのも特徴です。参照:厚生労働省
加えて、3年以内に就労自立給付金を受け取っていた場合、原則として支給されないので、注意が必要です。
生活保護の廃止が不正受給によるものだった場合、生活保護費を返還しなければなりません。
この場合、返還すべき生活保護費は、原則として全額一括返済となるため、注意が必要です。
しかも、不正受給のケースが悪質だった場合、不正受給で得た生活保護費とは別に、最大40%の加算金を上乗せされた金額を返済しなければなりません。
例えば、20万円の生活保護費を不正受給で得た場合、20万円とは別に8万円が上乗せされ、合計28万円が徴収されます。
生活保護費を不正受給によって得るのは絶対にやめましょう。
生活保護の理想的な廃止は経済的自立によるもので、就労自立給付金はいわばお祝い金と言えます。
一方で現実的には生活保護を受け取っていた高齢者世帯の方が亡くなって廃止になるケースが増えており、今後も増加が予想されます。
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