生活保護受給者は県外や市外に引っ越してもいい?引っ越す時の注意点は?

生活保護の申請は、住んでいる管轄の福祉事務所で行います。

受給条件は全国同じですが、生活保護費は国が4分の3、自治体が4分の1を負担しているため、県外に引っ越した場合、どうなるのか疑問に思っている人も少なくないでしょう。

そもそも県外への引越しは許されるのか、心配ですよね。

今回は生活保護受給者は県外や市外に引っ越してもいいのか、引っ越す時の注意点をまとめてご紹介します。

生活保護受給者は県外や市外に引っ越してもいい?

では早速、生活保護受給者は県外や市外に引っ越しできるのかという疑問にお答えします。

結論からいうと、生活保護受給者でも県外や市外に引っ越しすることは可能です!

そもそも日本の憲法では、第22条第1項において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」 と規定されています。

生活保護受給者も当然これに当てはまり、県外や市外の引っ越しが可能となるのです。

しかし、何の手続きもせずに、気軽に引っ越すことはできません。

必ず担当ケースワーカーに相談する

生活保護受給者が引っ越しする際は、必ず担当のケースワーカーに相談してください。

これは県内や市内の場合でも同様です。

相談だけでなく、許可も得る必要があります。

管轄する福祉事務所から許可が得られれば、引っ越しが可能になります。

ただし、引っ越しには費用がかかります。

生活保護受給者の場合、貯金がままならない人が多いでしょう。

そこで住宅扶助を利用し、引っ越し費用を受給できればいいのですが、そんなことは可能なのでしょうか。

引っ越し費用はどうなる?

生活保護受給者が引っ越す際、費用がもらえるか否かは引っ越し理由によります。

以下の18の条件で1つでも当てはまれば、住宅扶助で引っ越し費用を受給できるため、確認してみましょう。

  1. 病院から退院する時に住居がない場合
  2. 実施機関の指導に基づき、現在支払っている家賃よりも低額な住居に転居する場合
  3. 土地収用法などによって立ち退きを強制され、転居を必要とする場合
  4. 退職などにより社宅から転居する場合
  5. 社会福祉施設などから退所する時に、帰る住居がない場合
  6. 宿所提供施設、無料低額宿泊所などの利用者が居宅生活に移行する場合
  7. 今住んでいる住居で、居室の提供以外のサービス利用の強要や、著しく高額な共益費の請求などの不当な行為が認められる場合
  8. 現在の居住地が職場から遠距離で通勤が困難であり、職場近くに転居することが、世帯の収入の増加、健康の維持など、世帯の自立助長に役立つと認められる場合
  9. 火災などの災害により住居が消滅、または住めない状態になったと認められる場合
  10. 老朽または破損により住めない状態になったと認められる場合
  11. 居住する住居が著しく狭い、または劣悪で、明らかに居住にたえないと認められる場合
  12. 病気の治療にとって環境条件が悪いと認められる場合、または、高齢者や身体障害者がいる場合に設備構造が居住に適さないと認められる場合
  13. 住宅が確保できず、親戚、知人宅などに一時的に居候していた者が転居する場合
  14. 家主から立ち退きが要求され、または借家契約の更新の拒否、解約の申入れがあり、やむを得ず転居する場合
  15. 離婚(事実婚の解消を含む)により、新たに住居を必要とする場合
  16. 高齢者、身体障害者などが扶養義務者の日常的介護を受けるため、扶養義務者の住居の近隣に転居する場合、または、双方が被保護者であって、扶養義務者が日常的介護のために高齢者、身体障害者などの住居の近隣に転居する場合
  17. 被保護者の状態などを考慮し、適切な法定施設(グループホームや有料老人ホームなど)への入居がやむを得ない場合
  18. 犯罪などにより被害を受け、または同一世帯に属する者から暴力を受け、生命および身体の安全の確保を図るために、新たな住居へ転居する必要がある場合
    (参考:厚生労働省「○生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」

例えば、ペットを飼いたいなどの自己都合の場合、引っ越しは可能ですが、費用は自分で支払う必要があります。

引っ越し費用は決して安くはありません。

特に、県外や市外へ引っ越す時は数十万円など高額になる場合もあります。

引っ越す理由と費用を比較して、じっくり検討するようにしましょう。

生活保護受給者が県外・市外に引っ越す時の注意点は?

では次は、生活保護受給者が県外や市外に引っ越す時、どういったところに注意すればいいのか解説します。

生活保護の再申請が必要

冒頭でも少しふれた通り、生活保護費の一部は自治体によって支給されています。

つまり、引っ越しで自治体が変わる場合は、生活保護の再申請が必要になるのです。

生活保護の条件は、全国どこでも同じですが、状況によっては転居地での生活保護が認められない場合もあります。

引っ越し前に、担当ケースワーカーや転居先の自治体へ問い合わせ、自分は続けて生活保護が受給できる条件にあるのかを確認しましょう。

手続きの方法などを聞いた際は、メモを取るなど行い、申請漏れがないように注意します。

また、生活保護費の支給が途絶えることがないかも重要です。

高額な貯金ができない生活保護受給者にとって、1ヶ月でも保護費が無支給だと死活問題になります。

担当ケースワーカーに必ず確認するようにします。

生活保護の金額が変わる可能性がある

2つ目の注意点は、生活保護の金額が変わる可能性があることです。

都会と地方では、生活するために必要な費用が異なります。

そのため、「最低生活費」の金額も違ってきます。

例えば、東京都などの1級地1の地域では、最低生活費は単身者で約13万円です。しかし、青森県つがる市などの3級地2の地域では、約9万5千円と10万円以下です。

その分、家賃や物価が安くなるため、生活する上で不自由は少ないかもしれません。

ただ念のため、生活保護の金額が変わることは把握しておくべきでしょう。

新しく賃貸物件を見つけるのが難しい

3つ目の注意点は、新しく賃貸物件を見つけるのが難しいことです。

生活保護受給者は、一般的な場合と比べると賃貸物件を見つけて、契約することが難しい場合が多いです。

まずは、生活保護の住宅扶助金額内の賃貸を探す必要があります。さらに、賃貸契約において断られる可能性もあります。

もし県外や市内に引っ越しの許可がおりたら、すぐに転居先での物件を探すようにします。

また、遠方であれば内覧も簡単ではありません。

交通費を考えると、何度も内覧することは難しくなります。

一度に多くの物件を見て回れるように、不動産会社との連絡を密にとり、段取りよく転居先を探しましょう。

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まとめ

今回は生活保護受給者は県外や市外に引っ越してもいいのか、引っ越す時の注意点をまとめてご紹介しました。

生活保護受給者の県外や市外への引っ越しは認められています。

ただし、引っ越し費用を受給できるかは、引っ越しの理由によります。

上記で紹介した条件と照らし合わせて、1つでも当てはまれば引っ越し費用が受給できます。

まず、担当ケースワーカーに引っ越しすることを相談し、指示に従うようにしましょう。

生活保護受給者が引っ越す時は、以下の事柄に注意します。

  • 生活保護の再申請が必要
  • 生活保護の金額が変わる可能性がある
  • 新しく賃貸物件を借りるのは難しい

手続きなどで漏れがないように、担当ケースワーカーからの指示はしっかりメモを取ります。

また、合わせて転居先での生活保護の金額も問い合わせておくと良いでしょう。

さらに、賃貸物件を借りるのが難しい場合を考えて、早めの物件探しを行います。

引っ越し作業はただでさえ、大変です。

体調管理にも気をつけて、1つ1つクリアしていきましょう。

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