障害者雇用納付金はどんな制度?各種助成金や注意点を解説

企業は法律に基づき、従業員に占める障害者の割合を一定以上にすることが義務付けられています。

この義務を果たせなかった時に支払わないといけないのが障害者雇用納付金です。

納付金は、積極的に障害者を雇用する企業に対して支払われる助成金の原資にもなっています。

本記事では、制度を中心に、助成金の中身や注意点をまとめました。

障害者雇用納付金とは

障害者雇用納付金とはどのような制度なのか、気になる方も多いはずです。

本項目では、概要をまとめました。

障害者雇用納付金の概要

障害者雇用納付金は、従業員に占める障害者の割合が法律で定められた数値を下回った場合に支払わなければならないお金です。

障害者雇用促進法において、障害者雇用率制度が定められており、企業は「障害者が占める割合を法定雇用率以上」にしなければなりません。

法定雇用率は年々引き上げられており、2024年度は2.5%となっています。

そのため、従業員が40人以上の企業は最低1人の障害者を雇用しなければならないルールです。参照:厚生労働省

数値が水準に達していない企業は、納付金を支払わないといけません。

現状では、納付金の対象企業は常用労働者が100人以上の企業となっています。

ただ、今後の数値の変化やルール改正に伴い、対象企業のハードルが上下することも十分に考えられます。

納付金の趣旨

障害者雇用に関連する負担を企業間で補っていくために存在するのが、障害者雇用納付金です。

障害者を雇用する際には障害者を受け入れるための環境整備が必要であり、金銭的な負担がかかりやすくなっています。

企業が積極的に障害者を雇用することができるように作られたのが、障害者雇用促進法です。

納付金が原資となり、各種助成金が支給されていきます。

納付金の仕組み

障害者雇用納付金は、法定雇用率の不足分を補う形で支払うことになっており、不足する人数分の納付金の支払いが必要です。

例えば、従業員120人の企業で法定雇用率の2.5%を満たすには障害者3人の雇用が必要ですが、1人しか障害者を雇用していないとします。

その場合、不足している2人分の納付金を支払います。

納付金は1人あたり月50,000円が必要なため、このケースでは100,000円の納付金を毎月支払うことになります。

仮に不足分が10人分であれば、毎月500,000円の納付金がかかります。

障害者雇用納付金が原資となる各種助成金について

障害者雇用納付金は、積極的に障害者を雇用する企業への助成金の原資にもなっています。

本項目では、各種助成金についてまとめました。

障害者雇用調整金

障害者雇用調整金は、100人以上の労働者を抱える企業において、障害者の雇用割合が法定雇用率を上回る場合に支給される助成金です。

数値を上回った人数に応じて支給され、1人あたり月29,000円が原則支給されます。

在宅就業障害者特例調整金

在宅就業障害者特例調整金は、前年度に在宅で働く障害者もしくは在宅ワークを支援する団体に仕事を発注して業務の対価を支払った場合に支給されるものです。

計算式は以下の通りです。

{在宅就業障害者への支払い総額÷評価額(350,000円)}×調整額(21,000円)

例えば、支払総額が350万円だった場合、(350÷35)×2.1となるため、210,000円が在宅就業障害者特例調整金として支給されます。

以前は評価額が105万円でしたが、評価額が下がったことで在宅就業障害者特例調整金を得やすくなりました。

この調整金も常用労働者が100人以上の企業が対象です。

報奨金

報奨金は常用労働者が100人以下の企業を対象とし、法定雇用率を上回って障害者を雇用した場合に支給されます。

仕組みは障害者雇用調整金と同じであり、1人あたり月21,000円が原則支給されます。

在宅就業障害者特例報奨金

在宅就業障害者特例報奨金も常用労働者が100人以下の企業を対象としています。

計算式は以下の通りです。

{在宅就業障害者への支払い総額÷評価額(350,000円)}×調整額(17,000円)

在宅就業者特例調整金と比べ、調整額が減額されていますが、計算式自体は大きく変わりません。

障害者雇用納付金に関する注意点

最後に障害者雇用納付金に関する注意点をまとめました。

納付金の支払いに関して気をつけるべきことを解説しています。

申告義務の有無

障害者雇用納付金は常用労働者が100人以上の企業を対象としており、常用労働者を100人以上抱えている月が5か月以上あった企業が該当します。

この数は正社員やパート・アルバイト、日雇い労働者を含めており、常態的に雇用している労働者の数を示しています。

100人前後の企業であれば、場合によっては100人を割り込む月も出てくるため、申告義務の対象外になる場合も出てくるのです。

事業主は前もって申告義務の有無に気を付けることが求められます。

延滞金がかかる場合がある

納付金には納付期限が存在しており、納付期限を過ぎても支払わない場合、延滞金がかかります。

納付期限を過ぎると催促状が届き、この段階で支払えば延滞金はかかりません。

しかし、催促状すら無視すると、年14.5%の金利がついた形で延滞金がかかります。

最悪の場合は財産の差し押さえといった処分が科せられるため、速やかに支払うことが求められます。

支払ったからといって義務を果たしたことにはならない

「納付金を支払えば障害者を入れなくていい」と考える事業主もいるのではないでしょうか。

結論から言いますと、大きな間違いです。

納付金は、義務をしっかりと果たす企業と果たせていない企業の金銭的なバランスを取るためにあります。

ですので、納付金を払ったところで法で定められた義務を果たしたことにはなりません。

義務を果たせないと、ハローワークからの指導が入るほか、場合によっては企業名が出てしまい、悪影響が出る恐れもあります。

実際に企業名が公表されたケースは存在しており、企業名や代表者名が厚生労働省のホームページで公開されました。参照:厚生労働省

企業名や代表者名が公表されれば、求人を行おうと思っても応募の来ない可能性が高まっても不思議ではありません。

とにかく義務を果たしていくことが求められます。

まとめ

障害者雇用納付金は常用労働者100人を目安にし、比較的規模の大きい企業を対象としています。

一方で100人を下回る企業でも、数値を上回る形で積極的に障害者を雇用すれば報奨金という形で助成金を手にできます。

事業主や今後起業を考える方は、数値を意識して障害者の雇用を進めていく必要があります。

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