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最後のセーフティーネットと言われる生活保護。多くの人が受給し、生活が助けられています。
そんな日本の生活保護は広く知られていますが、世界の経済大国でもあるアメリカにも生活保護のようなシステムはあるのでしょうか。
今回はアメリカにも生活保護はあるのか?低所得者向けの制度についてご紹介していきます。
そもそも、アメリカには日本の生活保護のような公的扶助はあるのでしょうか。
答えは、あるとは言えるけど、日本の生活保護とは形が異なる制度になっています。
日本の生活保護は受給することで以下の扶助を受けられます。
受給者の状況に応じて、加算で支給金額が上乗せされます。
イメージとしては、日本の生活保護は低所得者向けの扶助のセットです。
しかし、アメリカの公的扶助は低所得者向けではあるものの、全てがセットではなく、それぞれ分けられた制度となります。
そのため、一概に日本の生活保護と同じ制度があるとはいえないのです。
では、アメリカにはどんな公的扶助があるのでしょうか。
ここからはアメリカの生活保護のような低所得者向けの制度をご紹介していきます。
1つ目は「Supplemental Security Income」、通称SSIです。日本語では、補足的保障所得と訳します。
この制度はアメリカの社会保障局が運営し、財務省の基礎基金と税金を財源としています。
受給の対象者は、65歳以上、目の不自由な者、亡くなるまで働けないほどに健康状態の悪い者のいずれかを満たす者です。また、所得が一定以下でなくてはいけません。
要は、低所得の高齢者や障害者向けの制度といっていいでしょう。
日本の生活保護の条件は、年齢制限はなく、たとえ障害がなかったとしても、ある一定の条件に当てはまれば、受給することができます。
これを考えると、アメリカのSSIはかなり厳しい条件になっていることがわかります。
支給金額は州によって異なりますが、単身者で約10万円、2人世帯で約15万円と最低限の金額です。
アメリカは物価が高いですから、よっぽど田舎でない限り、SSIのみで生活していくのは難しそうですね。
2つ目はメディケイドと呼ばれる医療プログラムで、アメリカの5人に1人が受けていると言われています。
要するに、無料または低料金の医療保険のことで、医療費の高いアメリカには必要不可欠な制度です。
対象者は、低所得者だけでなく、妊婦、子ども、高齢者、障害者が含まれます。
日本でいう医療扶助にあたります。
3つ目はSNAPと呼ばれる補助的栄養支援プログラムで、以前はフードスタンプと呼ばれていました。
低所得者向けの食糧配給でデビッドカードのようなカードが支給されます。
SNAPの前のフードスタンプは1939年から開始した支援制度で、SNAPになった現在も含めると80年以上の歴史があります。
アメリカ人の12.6%が利用していると言われており(2022年11月時点)、アメリカではよく知られた制度です。
条件は州によって異なりますが、所得だけでなく資産にも上限があります。
支給額は所得や家族の人数によって変わり、現金ではなく、EBTカードと呼ばれるカードの中に支給されます。
買い物でEBTカードを出すと、食糧が購入できる仕組みですが、嗜好品や贅沢品と認められたものは購入できません。
例えば、アルコールやタバコ、ペットフードなどです。
日本の生活保護費はギャンブルやアルコールに使用されることもありますが、アメリカのSNAPはこういった形で必要最低限の生活にのみ使用できるよう工夫されているのですね。
4つ目は「Temporary Assistance for Needy Families」、通称TANFです。日本語では、貧困家庭向け一時援助金プログラムと呼びます。
子どもがいる低所得世帯向けの制度で、洋服代や学校で使用する学用品などの費用を賄うために現金が支給されます。
こちらも受給条件は州によって異なりますが、受給期間は5年間と定められています。
日本でいう教育扶助や生業扶助に似ている制度ですね。
最後5つ目は「Women, Infants, and Children」、通称「WIC」です。日本語では、婦人、乳児および子どものための特別食品強化事業と訳されます。
目的は、妊婦や乳児、子どもに十分な栄養を摂らせることです。
条件は、収入や年齢、母親の健康状態や社会的な状況、健康に関する状態が基準となって判断されます。
受給許可がおりれば、食品チケットが毎月支給されます。
日本の生活保護でいう母子加算や妊産婦加算に似ている制度といえます。
今回はアメリカにも生活保護はあるのか?低所得者向けの制度についてご紹介しました。
アメリカの扶助制度は、日本の生活保護とは違った形でしたが、それぞれの扶助と似ている部分もありました。
SSIなど厳しい受給条件の制度もある一方で、多くの人が利用しているSNAPなどの制度もあります。
低所得世帯全体はもちろんですが、母親やその子どもに向けた扶助制度が比較的多い印象です。
アメリカもさまざまな工夫を行って、多くの人の生活を支援しているんですね。