介護離職とは?現状や介護離職しないための支援制度をご紹介!

日本は超高齢社会と呼ばれるほど、高齢者の多い国です。家族の介護を自宅で担う人も多く、介護離職も増えています。

しかし、介護離職はデメリットが多く後悔する人も少なくはありません。介護離職しないためにはどうしたらいいのでしょうか?

今回は介護離職とは?現状や介護離職しないための支援制度をご紹介します。

介護離職とは?日本の現状

介護離職とは、家族の介護を理由に仕事を辞めることをいいます。

高齢者が増え、少子化で人手不足な日本ではとても深刻な問題です。

ここでは、介護離職の現状をご紹介しましょう。

介護離職者の人数

介護離職者は具体的に何人いるのでしょうか。

総務省の「令和4年就業構造基本調査結果」によると、2022年に「介護・看護のために過去1年間に前職を離職した者」の数は10.6万人でした。

2017年の介護離職者は9.9万人だったため、増加していることがわかります。

また、男女の割合は男性が2.6万人に対して、女性が8万人と圧倒的に多いのが特徴です(2022年)。

その理由は、夫婦の場合に妻が介護者になることが多い、また女性のほうが収入が低いため介護を任される確率が高いなどが考えられます。

働きながら介護する人も

一方で、働きながら介護する人もいます。

同調査によると、介護者629万人のうち365万人が仕事をしています。つまり、自宅で介護をしている人の約60%が働きながら介護をしているのです。

ただし、介護をしながら働くのは簡単なことではありません。

それは、理解のある職場ばかりではないからです。

2019年の「仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業報告書」では、介護離職の理由に「仕事と『手助・介護』の両立が難しい職場だったため」と回答した人が59.4%と最も多い結果となりました。

残念ながら介護に対しての職場の理解は、まだまだ十分とは言えないのが現状です。

介護離職は後悔する?メリットとデメリットは?

介護離職をすると、確かに介護に集中はできますが、後悔の声も少なくありません。

ここでは、介護離職するメリットとデメリットについてご紹介します。

介護離職のメリット

介護離職のメリットは、冒頭でもあげた通り、介護に集中できることです。

これまで以上に、家族に寄り添ったケアができるようになります。

また、自身が介護をすることで介護サービスの利用を減らし、費用を軽減できます。

介護離職のデメリット

介護離職のデメリットは、収入が断たれてしまうことです。

たとえ介護サービス料を削減できても、家賃や食費など必要なお金がなければ生活が困窮します。

また、介護離職する年齢は50〜60代が多く、介護が終わってからの正社員での再就職は非常に難しいといわれています。

少し前のデータですが、2012年に行われた調査では、正社員から介護離職した人の約半数49.8%しか正社員として再就職できていないということがわかりました。

残りの半数は、非正規雇用または無職の状態にあったのです。
(データ引用:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」)

つまり、一度介護離職した人はその後の生活も経済的に不安定となる可能性があります。

また、介護離職のデメリットは、個人だけではありません。社会全体としても今以上の人手不足が心配されます。国をあげて抜本的な対策が必要です。

介護離職しないための支援制度をご紹介!

介護離職はメリットもありますが、デメリットのほうが大きいことがわかりました。また、個人だけの問題ではなく社会全体として考えていく必要があります。

ここからは介護離職をしないために、活用したい支援制度をご紹介します。

介護休業制度

介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するための休業です。

要介護状態とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の 期間にわたり常時介護を必要とする状態」のことをいいます。

休める期間は、対象家族1人につき3回まで、通算93日までと定められています。

手続き方法は休む2週間前に、会社に申し出ることです。

会社規定の書類があればそこに記入して提出します。

なお、介護休業を取得した雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす人は「介護休業給付金」を受け取ることができます。

給付金額は、休業開始前の給与水準の67%です。

給付金に関しては、近くのハローワークへ問い合わせましょう。

介護休暇制度

介護休暇制度とは、要介護状態の家族のために介護やお世話をするための休暇です。

取得できる日数は対象家族が1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日までです。

通院の付き添いからケアマネージャーとの打ち合わせでも利用できます。

勤務時間の短縮等の措置

勤務時間の短縮等の措置とは、要介護状態の家族のために所定勤務時間を短縮するなどの措置のことです。

事業主は以下のいずれか1つの制度を設けなくてはいけません。

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤の制度
  • 介護費用の助成措置

利用回数は、対象家族1人につき、利用開始から3年以上の期間で2回以上です。

まとめ

今回は介護離職とは?現状や介護離職しないための支援制度をご紹介しました。

2022年の介護離職者は10.6万人で、これまでで増加傾向にあります。今後も高齢者が増えることを考えると、介護離職者も増え続けるでしょう。

介護離職は家族のケアができるというメリットの反面、経済的なデメリットが大きく、さらに社会の人手不足にも影響します。

介護離職しないために支援制度の活用が求められます。

とはいえ、会社が理解を深め、積極的に制度の利用を呼びかけなければなりません。

これから介護離職する人が増えないよう、周囲の理解が必要です。

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