母子家庭で生活保護を受ける条件や金額、デメリットは何?

「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、男性の平均年収が約545万円に対して、女性の平均年収は約302万円と、約243万円も低いことがわかっています。

このように、女性の貧困は大きな社会問題であり、なかでも母子家庭の貧困はより深刻だといわれています。

母子家庭で生活が困窮し、生活保護に頼りたい…そう考える人も少なくはないでしょう。

今回は母子家庭で生活保護を受ける条件や金額、メリット、デメリットについてご紹介していきます。

母子家庭で生活保護を受ける条件は?

まずは、母子家庭で生活保護を受ける条件をご紹介しましょう。

生活保護を受ける条件は、どんな世帯でも基本的に同じです。

1.収入が生活保護費より少ない

1つ目は、収入が生活保護費より少ないことです。

生活保護費とは、生活保護が決定した際に受け取れるお金のことをいいます。

この生活保護費はどこに住んでいるか、子どもが何人いるか、その人の状況によって異なります。

もし収入がある場合、生活保護費から収入を差し引いた分の金額が支給されます。

例えば、生活保護費が20万円で収入が5万円だった場合、20万円−5万円で15万円が支給されます。

収入というのは、働いた際に得たお金だけではありません。

ここからは、母子家庭で考えられる収入をご紹介しましょう。

母子家庭の収入① 勤労収入

1つ目は、勤労収入です。

その名の通り、働いた際に得られるお金です。

母子家庭の収入② 児童扶養手当などの手当

2つ目は、児童扶養手当などの手当です。

母子家庭の場合、以下の手当を受け取ることができます。

  • 「児童手当」…0歳から中学校卒業までの子どもを養育している人に支給される
  • 「児童扶養手当」…18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子ども(障害を持っている場合は20歳未満の子ども)を養育しているひとり親に支給される
  • 「児童育成手当」…自治体による
  • 「ひとり親家庭住宅手当」…自治体による

これらの手当も収入として認められます。

母子家庭の収入③ 養育費や慰謝料

3つ目は、養育費や慰謝料です。

元夫から毎月、養育費や慰謝料を受け取っている場合、そのお金も収入として認められます。

以上の収入を全て申告し、生活保護からはその差額を受給するようにしましょう。

申告忘れは不正受給として判断される場合があるため、注意が必要です。

2.資産がない

次の条件は、資産がないことです。

資産とは、貯金や不動産、自動車、保険、宝石など、売却してお金になるもののことです。

母子家庭であれば、すでに学資保険に加入している可能性が考えられます。

貯蓄型の保険は、生活保護を受ける時点で原則として解約する必要があります。

ただし、以下の条件を満たしている学資保険であれば加入を続けることができます。

  • 保護開始時における解約返戻金の金額が50万円以下であること
  • 満期金の受取時期が15歳または18歳の学資保険であること
  • 世帯内の子どもの就学に関する費用を目的としたものであること

学資保険に加入している人は以上が当てはまるか確認してみましょう。

また、資産は子ども名義の貯金にも当てはまります。

隠すと不正受給になるため、しっかりと提出するようにしましょう。

3.親族に頼れない

そして3つ目の条件は、親族に頼れないことです。

親族とは、申請者の3親等のことを指します。

もし親族の中に援助してくれるという人がいれば、まずそちらを頼ることが優先されます。

母子家庭の場合、実家で暮らすという選択肢も出てくるでしょう。

しかし、もし実家で暮らした場合、親から援助されていると判断され、生活保護が受けられない可能性が高いです。

ただし、実家に住む親の収入が低いと、親と合わせた1つの世帯として生活保護が受けられるかもしれません。

詳細は、福祉事務所などの窓口で相談してみましょう。

母子家庭の生活保護の金額は?

次は、母子家庭の生活保護の金額をご紹介しましょう。

地域によって異なるため、あくまで参考程度にとどめてください。

住宅扶助と生活扶助

生活保護は、8つの扶助と8つの加算で構成されています。

毎月決まってもらえるのは、住宅扶助と生活扶助です。

住宅扶助は家賃、生活扶助は生活費にあたります。

例えば、地域区分の1級地−1に住んでいる母子家庭がもらえる住宅扶助は64,000円、生活扶助は123,780円です。

ただし、住宅扶助は実費分しかもらえないため、5万円の家賃の家に住んだ場合、5万円のみが支給されます。

その他の扶助

その他の扶助(教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助)は、必要に応じて支給されます。

子どもがいる家庭の場合、教育扶助と生業扶助との関係が深いでしょう。

教育扶助は、子どもの義務教育期間に学級費、教材費、給食費、通学費などの必要なお金がその都度、支給されます。

例えば、入学準備から教材費用、毎月の給食費なども教育扶助で賄うことができます。

生業扶助は、高校生の学用品費や教材代、交通費などの必要なお金が支給されます。

クラブ活動費も実費で賄うことができます。

また、出産する際の出産費用は、出産扶助で実費支給されます。

その他の扶助も、必要に応じて支給されるため、その都度担当のケースワーカーに相談しましょう。

母子加算

生活保護には、加算と呼ばれる項目もあります。

母子家庭で考えられる加算の1つは、母子加算です。

ひとり親世帯に加算される母子加算は、1級地−1の場合1人目で18,800円、2人目で23,600円が支給されます。

児童養育加算

他には、児童扶養加算も母子家庭に支給される加算です。

児童扶養加算は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子どもを育てる生活保護世帯に、一律で10,190円が支給されます。

妊産婦加算

妊娠中や出産から6ヶ月以内であれば、母親の栄養を補うために妊産婦加算が支給されます。

金額は1級地および2級地の場合、妊娠6ヵ月未満で9,130円、妊娠6ヵ月以上で13,790円、産後で8,480円です。

母子家庭での生活保護のメリットとデメリットは?

では最後に、母子家庭で生活保護を受ける時のメリットとデメリットをご紹介したいと思います。

メリット

メリットはこれまで前述した通り、複数の扶助や加算の支給で生活が安定し、心に余裕ができることです。

子どもがいると経済的な面で心配事が増えます。

生活保護を受給すると、とりあえずはその心配から離れ、生活を立て直すことができるでしょう。

デメリット

デメリットは、子どものための貯金ができないことです。

生活保護の条件でもありましたが、生活保護受給者は資産を持つことができず、子どものためであっても高額な貯金はできません。

もし貯金ができれば、生活保護費に余裕があると見なされ、支給金額を減額される可能性が高いです。

さらに、働かなくても毎月生活できるお金が入ってくるため、自立が遅くなるというデメリットも考えられるでしょう。

もし母子家庭で生活保護を受給する際は、今後の自立のために就労支援を受けるなど、ケースワーカーと相談の上、無理のない範囲で努力する必要があります。

まとめ

今回は母子家庭で生活保護を受ける条件や金額、メリット、デメリットについてご紹介しました。

母子家庭で生活保護を受けるには、「収入が生活保護費より少ない」「資産がない」「親族に頼れない」などの条件をクリアしなければなりません。

母子家庭には、住宅扶助や生活扶助、母子加算、児童養育加算などの扶助や加算が支給されます。

母子家庭で生活保護を受けるメリットは、生活が安定し心に余裕ができること、デメリットは貯金ができないこと、自立が遅くなることでした。

このページをシェアする
  • URLをコピーしました!