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生活保護には、その人の状況に応じて生活保護費に上乗せされる8つの加算があり、その中に障害がある人が受けられる「障害者加算」という項目が存在します。
対象者が限られる加算のため、少し複雑だなと感じている人も多いかもしれません。
今回はそんな生活保護の障害者加算について、対象者から支給される金額、注意点をご紹介していきます。
また、精神障害者の場合や障害年金との関係についても、解説していきましょう。
まずはじめに、生活保護の障害者加算について詳しくご紹介していきます。
生活保護の障害者加算とは、8つある加算の1つで、障害があり一定の条件を満たした人に支給される加算です。
障害がある人はない人に比べて、日常生活を送るのに何かしらお金がかかります。
例えば、買い物や病院へ行く時に障害のない人は歩いて行くことができます。しかし、障害のある人はタクシーを使わなければいけないかもしれません。
このように、生活費が通常より多くかかってしまうため、障害者加算で上乗せしようという目的を持っています。
ただし、障害者加算の使い道は自由で、絶対これに使わなくてはいけないということはありません。
障害者加算の対象者には以下の条件が定められています。
(1)身体障害者手帳1級または2級に該当する障害のあるもの、もしくは、障害年金1級に該当する障害のあるもの
(2)身体障害者手帳3級に該当する障害のあるもの、もしくは、障害年金2級に該当する障害のあるもの
簡単にいうと、身体障害者手帳1〜3級を持っているか、障害年金1〜2級の人で、生活保護を受給している人は障害者加算を受けることができるということです。
障害がある人が全員受けられる訳ではなく、重度から中度の障害がないと障害者加算は受けることができません。
では肝心な、障害者加算の金額はいくらなのでしょうか。
これは前述した対象者の(1)か(2)どちらなのか、さらに住んでいる地域によっても異なります。以下の表をご覧ください。
級地区分 | (1)に該当する者 | (2)に該当する者 |
1級地 | 26,810円 | 17,870円 |
2級地 | 24,940円 | 16,620円 |
3級地 | 23,060円 | 15,380円 |
地域の級地区分は、都市部は1級地、郊外にいくほど2級地、3級地と下がっていきます。
お住まいの級地区分を知りたい方はこちらを参考にしてください。
https://best-selection.co.jp/media/wp-content/uploads/2021/03/seikatsuhogo-kyuchi2022.pdf
これらの金額がその他の生活保護費に追加で、毎月支給されることになります。
1級地(1)に該当する人で考えると、毎月26,810円、1年間で321,720円が支給されます。支給対象者にとってはかなり大きな加算になることが予想できますね。
しかし、そんな障害者加算にも注意点があります。
それは申請しないともらうことができないことです。窓口によっては丁寧に案内してもらえる場合とそうでない場合があるかもしれません。案内がなかった場合、自ら問い合わせる必要があります。
さらに、申請に遅れがあったとしても、障害者加算は遡って支給してもらうことができません。
例えば、ずっと障害者加算の対象者だったにも関わらず、申請せずに生活保護受給から1年が経っていたとします。その後、自分が対象者だと知り、障害者加算の申請を行った場合、最大321,720円分の損をしていたことになります。とてももったいないですよね。
なので、自分が障害者加算の対象者とわかったら、すぐに申請を行いましょう。認められれば、翌月から障害者加算が支給されます。
障害者加算の対象者は、身体障害者手帳1〜3級を持っているか、障害年金1〜2級の人ということがわかりました。
では、精神障害者の場合、障害者加算は支給されるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
精神障害者の場合、身体障害者手帳ではなく、精神障害者保健福祉手帳と呼ばれる手帳が発行されます。
この精神障害者保健福祉手帳を持っている人で、1級または2級の場合、障害者加算の支給対象に入ります。
ただし、精神障害者保健福祉手帳を持っていて、障害年金を受給している場合は障害年金の程度のほうが優先され、もし障害年金3級だった場合、対象外となります。
精神障害者保健福祉手帳の3級の人は、障害者加算の対象とはなりません。
しかし、こちらもまた障害年金が優先されるため、精神障害者保健福祉手帳で3級であっても障害年金2級以上であれば、障害者加算の支給対象となります。
とてもややこしい条件なので、精神障害者保健福祉手帳を持っている人は自分が支給対象かわからなくても、担当のケースワーカーに尋ねてみることをおすすめします。
もし支給対象だった場合、障害者加算がもらえるため、生活に少しの余裕が生まれるかもしれません。
最後に、生活保護と障害年金について簡単にふれておきたいと思います。
前述で障害年金という言葉が何度も登場しましたが、障害年金とは、障害がある人で一定の条件が認められた人が受けることのできる年金のことです。
年金と聞くと高齢者しか受けられないのかと思いがちですが、障害年金に関してはそうではなく、一部の例外を除いて原則として20歳から64歳の人が受けられます。
これまでの解説を読んで、生活保護と障害年金は同時に受けられるのか、疑問に思った人も多いと思います。
その答えは、受けられる、です。ただし、両方とも満額で受けることはできません。
生活保護よりも障害年金が優先されるため、まずは障害年金を受給し、そこから生活保護費との差額が生活保護から支給されます。
例えば、障害年金で月々8万円を受け取っていたとします。しかし、これでは生活できないとなると生活保護の申請を行います。
生活保護費で毎月13万円の支給が認められる場合、障害年金の分を除いたその差額である5万円を生活保護から受け取ることができます。
障害年金で生活保護費の金額を上回る場合は、そもそも生活保護を受けることができません。
障害年金を受けているのに生活が困窮している、そんな人は生活保護の申請を検討してみると良いでしょう。
今回は生活保護の障害者加算について、対象者から支給される金額、注意点をご紹介しました。
生活保護の障害者加算は、身体障害者手帳1〜3級を持っているか、障害年金1〜2級の人が対象です。支給される金額は障害の度合いと住んでいる地域によって異なります。
申請は自ら行う必要があり、遡って請求することができないため、注意が必要です。
なお、精神障害者保健福祉手帳を持っている人で、1級または2級の場合も対象者となります。
生活保護の障害者加算は少し複雑です。申請の手続きや自分が該当するのか不安な場合、担当のケースワーカーによく聞くようにしましょう。
申請までは少し手間がありますが、障害者加算の金額は大きいので、対象者であれば生活に少し余裕が生まれますよ。