生活保護は認知症でももらえる?介護施設への入居の可能性などを解説

2022年の段階で高齢者の8人に1人が認知症を抱え、軽度認知障害まで加えると、高齢者人口の3割程度の患者がいるとされています。参照:大樹生命

そのため、「生活保護は認知症になってももらえるの?」と不安になる方が出てくるのは自然なことです。

結論から言いますと、生活保護は認知症でももらえます。

本記事では、認知症でも生活保護を受けることができる理由や、介護施設への入居の可能性などを解説します。

生活保護は条件さえ満たせば認知症患者でももらえる!

生活保護は認知症の方でももらえます。

その理由は「生活保護を受け取れる条件を満たしている」からです。

生活保護を受け取れる条件は以下の通りです。

  • 毎月の収入が最低生活費を下回っている
  • 資産などを持っていない
  • 親族からの支援を受けられない
  • 病気などで働けない

ここからは、上記の内容について解説します。

毎月の収入が最低生活費を下回っている

生活保護を受け取るには、毎月の収入が最低生活費を下回っていることが大きな条件となります。

この場合の収入は、労働で得た収入のほか、年金なども含まれるため、受け取れる年金額が最低生活費を下回っていれば、条件を満たします。

最低生活費には、食費や家賃のほか、医療費なども含まれており、各自治体で最低生活費の基準が決まっています。

年金受給者であれば、最低生活費から年金支給額を差し引いて、不足している額を穴埋めする形で生活保護費が支給されます。

資産などを持っていない

申請段階で、土地や貯金などの資産を持っていないことも条件の1つです。

仮に資産がある場合、その資産を処分すれば生活できると判断されるためです。

そのため、持ち家に暮らす高齢者の方などは、本来だと生活保護を受け取れない可能性があります。

しかし、持ち家や土地の売却をしても二束三文程度にしかならないケースがある場合、むしろ認知症を抱えている中で新たに家探しをするリスクが想定されます。

このようなケースでは、持ち家や土地を抱えながらも生活保護を受け取ることは可能です。

親族からの支援を受けられない

生活保護の申請では、自治体などから親族からの支援が受けられそうかを尋ねられます。

生活保護の受給よりも、両親や兄弟姉妹、子や孫などの扶養義務者からの支援が優先されるためです。

自治体が扶養照会を行うなどして調査を実施し、支援が受けられそうにないと判断すれば、条件を満たしたことになります。

たとえ扶養義務者がいたとしても、支援をする財力がないと自治体が判断すれば、生活保護の受給が認められます。

また認知症を抱える親と子どもが暮らしている場合、世帯分離によって親だけ生活保護を受け取るような形も可能です。

親の介護を行うことで、子ども自身が最低限度の生活を送れないと判断されれば、世帯分離を介して認知症を抱える親への生活保護が認められます。

病気などで働けない

認知症などを理由に働けない場合も認められやすいです。

最近では若年性認知症も増えており、本来なら働き盛りの世代でも、認知症を患ったために働きにくくなることがあります。

若くして認知症になった方も安心して生活保護の利用ができます。

生活保護を受け取る認知症患者は介護施設に入居できる?

生活保護を受給する高齢者の中には、老人ホームなどの介護施設へ入居できるのか不安な方もいるのではないでしょうか。

結論から言いますと、生活保護を受け取る認知症患者でも介護施設への入居は可能です。

最大の理由は、生活保護受給者に与えられる「介護扶助」です。

介護扶助は、介護を必要とする生活保護受給者に対し、介護保険の対象となるサービスを給付するものです。

介護施設を利用する際も介護扶助を活用すれば、実質的な負担は0円となります。

一方、ネックになるのが要介護レベルなどの入居条件です。

近年は特別養護老人ホームなどへの入居希望が多く、一定以上の要介護レベルがないとすぐに入居できない傾向にあります。

認知症など、要介護レベルが高くないと入居まで待たされてしまうのが注意点です。

生活保護を受け取る認知症患者が利用できる介護施設は?

生活保護を受け取っている認知症患者は、特定の施設であれば利用可能です。

本項目では、利用できる介護施設や利用の条件などをまとめました。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは常に介護を必要とする高齢者に対して、介護サービスを提供する施設を指します。

特別養護老人ホームは公的施設であり、介護保険を活用して安く利用できるのが特徴です。

基本的に要介護3以上の高齢者が対象となっていますが、重い認知症の場合には要介護1もしくは2のケースでも利用できます。

特別養護老人ホームでは入所が行えるほか、ショートステイと呼ばれる短期入所療養介護やデイサービスと呼ばれる通所介護もあります。

生活保護受給者であれば、生活保護費を活用することで費用をカバーできるため、一定の利用額で収まれば自己負担0円で済むのも魅力です。

ケアハウス

ケアハウスは身寄りがない、、もしくは自宅で生活することが難しい高齢者が対象の老人ホームで、食事・生活支援・介護が行われるのが特徴です。

ケアハウスは軽費老人ホームの一種で、A~C型に区分される中のC型にあたり、その中でも自立型と介護型があります。

認知症患者の場合は介護型ケアハウスを利用でき、介護や看護を行う職員もいるため、認知症を抱えていても安心です。

生活保護受給者でも利用できるのがポイントで、居住費や住居費などが生活扶助に収まるケアハウスであれば、要介護1以上などの条件を満たすことで利用できます。

グループホーム

グループホームは認知症の高齢者を対象とした介護施設で、要支援2から利用できるのが特徴です。

ある程度自立して生活できる状態の認知症の高齢者であれば、グループホームを利用できます。

生活保護受給者は、「介護保険法指定介護機関」として認められたグループホームに限り、利用できる形です。

グループホームは認知症に特化した介護施設なので、認知症に対する知識を持つ職員が対応するため、安心して委ねられます。

生活保護を認知症患者が申請する際の方法

認知症を抱えている患者が生活保護を申請することは可能ですが、手続きを進めるのは一苦労です。

そこで以下の申請方法があります。

  • 扶養義務者や親族による代理申請
  • 成年後見人による代理申請
  • 自治体・福祉事務所の職権で認めるケース

ここからはそれぞれのケースについて解説します。

扶養義務者や親族による代理申請

本人が認知症患者の場合、扶養義務者や親族が代理申請することが可能です。

経済的な支援ができない扶養義務者、もしくは、扶養義務者には当てはまらない遠い親族が、本人に代わって申請できます。

成年後見人による代理申請

2021年10月以降は、成年後見人が生活保護の代理申請を行えるようになっています。

成年後見人は、認知症患者に成り代わってサポートを行える人物です。

今までは認められていませんでしたが、2021年に厚生労働省が方針を改めたことで認められました。参照:厚生労働省

自治体・福祉事務所の職権で認めるケース

一方で、自治体や福祉事務所が職権で生活保護を認めるケースもあります。

親族などの代理申請をできる人がおらず、代理申請が難しい場合は、自治体などが緊急的な処置として生活保護を認めることがあります。

まとめ

認知症患者であっても、生活保護を受け取ることは可能です。

認知症は誰しもがなり得る病気であり、有病率が高まることを考えると、決して他人事ではありません。

ゆえに、認知症になっても生活保護を利用すれば暮らせることを知っておくと、過度な不安を抱かずに毎日を過ごせます。

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