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生活保護は若者が使うべきではない、ずるいと感じている人は少なくありません。
しかし、その背景には「若いなら働けばいい」という誤解が含まれていることも多いです。
そこで今回の記事では、若者と生活保護をめぐる現状や受給できる条件、若者が生活保護に頼らざるを得ない理由について詳しく解説します。
生活保護からの脱却事例もあわせて紹介するので、制度への理解を深めるきっかけにしてください。



生活保護は高齢者だけの制度というイメージを持つ人も多いですが、実際には若い世代も一定数が利用しています。
ここでは、若者の生活保護の実態について見ていきましょう。
厚生労働省の調査によると、生活保護を受け取っている10代・20代は全体の約12%を占めています。
内訳は19歳以下が9.6%、20代が2.6%です。
19歳以下は2011年・2012年をピークに減少傾向にある一方、20代は横ばいが続き、緩やかではあるものの増加傾向にあります。
なお、65歳以上が受給者全体の半数以上を占めており、受給者の高齢化が進んでいるのが現状です。
18歳未満の子どもの相対的貧困率は2021年時点で11.5%と、生活保護を受け取る若者の割合とほぼ同水準です。
これは、これは「クラスに35人いれば約4人が貧困状態」というイメージです。
ようやくOECD加盟国の平均を下回った状況で、改善傾向にはあるものの、依然として深刻な課題が残っています。
ただし、各地でこども食堂が広がるなど、子どもの貧困は社会全体で取り組むべき問題として認識されつつあります。

若者が生活保護を利用することに対して、ずるいと感じる人がいるのはなぜでしょうか。
主な理由として挙げられる2点について解説します。
若いのに働こうとしないのは怠けているという見方から、ずるいと感じる人が少なくありません。
しかし、精神疾患や身体的な障害によって、働きたくても働けない若者も多くいます。
精神的な病気は外見からはわかりにくいため、「怠けて受給している」という誤解が生まれやすい側面があります。
生活保護費は原則非課税のため、地域や世帯人数によっては年収200万円以上に相当する額を手取りで受け取れるケースがあります。
懸命に働いても同水準の収入しか得られない人からすれば、不公平に感じることもあるでしょう。
ただし、働きながら収入が最低生活費に届かない場合は、差額分を生活保護として受け取ることも可能です。
生活保護に対する誤解が、ずるいという印象を生んでいる可能性が高いといえます。

若者だから受給できないと思っている人もいますが、実際には年齢による差はありません。
ここでは、若者が生活保護を受給するための条件を確認しておきましょう。
生活保護の受給条件は年齢にかかわらず共通しており、以下の条件を満たす必要があります。
たとえば、病気やけがで働けず、頼れる親族もいない若者は、回復するまでの間、生活保護を利用して療養に専念することができます。
生活保護は年齢に関係なく利用できる制度ですが、大学・短期大学・専門学校などに在学中の学生は、原則として受給対象外です。
これは、大学生は「働く能力がありながら活用していない」とみなされるためで、1963年の旧厚生省通知を根拠にした運用が現在も続いています。
たとえば、生活保護受給世帯の子どもが大学に進学する場合は、自身を生活保護の対象から外す「世帯分離」という手続きが必要です。
その後、学費や生活費は、奨学金やアルバイトで自ら賄うことになります。

生活保護の受給を検討しているものの、「どこに行けばいいのか」「何を準備すればいいのか」と不安に感じる若者は少なくありません。
実際の申請手順を事前に把握しておくことで、いざというときにためらわずに行動できます。
ここでは、申請から受給開始までの流れを順番に確認しておきましょう。
まず、住んでいる地域を担当する福祉事務所の生活保護窓口に相談に行くことが最初のステップです。
福祉事務所は市区町村の役所内に設置されていることが多く、場所がわからない場合は市区町村の代表番号に電話して確認するとスムーズです。
なお、住所がない状態でも現在いる場所を管轄する福祉事務所で申請できるため、住む場所がないことを理由に諦める必要はありません。
相談の際は、現在の生活状況や収入・資産の状況を担当者に伝え、申請の意思を示しましょう。
相談後、申請の意思があれば申請書に必要事項を記入して提出します。
書類が揃っていなくても申請自体は受け付けてもらえるため、まず窓口に足を運ぶことが大切です。
持参すると手続きがスムーズになるものとして、本人確認書類・預貯金通帳・収入関係の書類などがあります。
申請書を提出した日が保護開始の基準日となるため、困っている場合は早めに申請することが重要です。
申請後は、ケースワーカーによる自宅への訪問調査と、金融機関や生命保険会社などへの資産調査が行われます。
あわせて、扶養が可能な親族がいないかの照会も実施されますが、親族への連絡を拒否できる事情がある場合は事前に担当者に相談できます。
条件を満たしていると判断されれば、申請日にさかのぼって生活保護が開始されます。

若者が生活保護を必要とする背景には、個人の意欲や努力だけでは解決できない、さまざまな社会的な事情が絡んでいます。
ここでは、若者が生活保護に頼らざるを得ない主な理由を4つ紹介します。
近年、精神疾患を患う若者は増加傾向にあり、上場企業を対象にした調査では「心の病」を抱える20代以下の割合が20年前の3倍以上に達しています。参照:公益財団法人日本生産性本部
精神疾患は外見からは判断しにくいため、周囲からは「働こうとしない」と誤解されやすい側面があります。
たとえば、うつ病や不安障害を抱えた状態では、仕事に就いても長続きせず、収入が途絶えてしまうケースが珍しくありません。
就労したくても体調面での壁が大きく、生活保護が唯一の支えとなる状況に追い込まれる若者が一定数存在します。
2023年の調査によると、15歳から39歳における引きこもりの割合は2.05%で、2016年と比べて増加しています。参照:NHK
長期にわたって社会との接点を失った状態では、就労経験やスキルが積み上がらず、急に自立を求められても現実的に対応が難しい状況に陥ります。
そのため、引きこもりの子どもを抱える家庭が、一人暮らしをさせて生活保護を申請させるケースも見られます。
引きこもりは本人の意志だけでなく、孤立や環境など複合的な要因が絡んでおり、制度的な支援なしには抜け出しにくい問題です。
生活保護の受給条件のひとつに「親族からの支援が受けられないこと」がありますが、若者の中には過去の虐待やDVなどを理由に家族との関係が断絶しているケースも少なくありません。
また、親族自身が経済的に余裕のない状況では、頼りたくても頼れないという現実があります。
友人や知人といった周囲のつながりも薄い場合、経済的に行き詰まったとき頼れる先がなく、生活保護が最後の手段となります。
孤立した環境に置かれた若者にとって、生活保護は生活を維持するための唯一のセーフティーネットといえます。
学歴や職歴のハンディがある若者は、正規雇用に就けず、非正規雇用やアルバイトといった不安定な働き方しか選択肢がないケースがあります。
非正規雇用は雇用保険に加入していない場合も多く、失業しても十分なセーフティーネットを受けられないまま生活に困窮するリスクが高いです。
また、最低賃金水準で働いても、フルタイムに近い労働をしながら、生活保護の基準を下回る収入しか得られないケースも実際に存在します。
こうした構造的な問題が、若者を意図せず生活保護へと追い込む一因となっています。

生活保護は自立を促す仕組みも備えており、受給をきっかけに生活を立て直した若者も存在します。
最後に、実際の脱却事例を紹介します。
20代で精神疾患を理由に生活保護を受給していたある若者は、数年後に脱却を果たしています。
きっかけは、近年普及し始めたフードデリバリーサービスです。
貯めていた保護費で自転車を購入して配達員として稼ぎ始め、徐々に収入を増やして自立に至りました。
精神的な病気を抱えていても、何らかのきっかけで就労意欲が生まれ、脱却につながるケースは十分にあります。
生活保護には就労支援の仕組みが用意されており、それを活用して自立を果たした若者もいます。
ある若者は非正規雇用やアルバイトしか経験がなかったものの、受給中にハローワークと福祉事務所が連携した就労支援プログラムを利用しました。
面接対策や職業訓練を受けながら、正規雇用での就職を実現したケースです。
受給中は生業扶助を活用して仕事に必要な資格取得費用の援助を受け、徐々に収入を増やしていったことで、最終的に生活保護を脱却するに至りました。
こうした事例は、生活保護が単なる金銭的な支援にとどまらず、就労による自立を後押しする制度であることを示しています。
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生活保護を若者が利用することをずるいと感じる背景には、制度への誤解や思い込みが関係していることが少なくありません。
生活保護は年齢を問わず、本当に困っている人が利用できる制度であり、精神疾患や孤立など、若者が抱える深刻な事情を背景に受給しているケースが多いです。
脱却への道のりは容易ではありませんが、制度を正しく活用しながら自立を目指すことは十分に可能です。
生活に困窮している場合は、ためらわずに制度を活用することが、生活再建への第一歩となります。
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