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毎月通院していると、医療費がかかって家計の負担になり、治療に専念できない人もいるでしょう。
そんな方は、自立支援医療という制度をチェックしてみましょう。
もし対象者であれば、医療費の自己負担額を下げることができます。
今回は自立支援医療について、概要から対象者、デメリットをわかりやすく解説します。
この記事を参考に、自立支援医療の制度への理解を深めていってください。
自立支援医療とは、心身の障害に対する治療において、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度のことです。
自立支援医療には「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」の3つの制度があります。
それぞれ対象者や対象となる治療は異なりますが、自己負担金額の考え方は同様です。
ここからは、「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」それぞれの対象者についてご紹介します。
自立支援医療(精神通院)の対象者は、精神科や心療内科などで治療を受ける疾患を持ち、通院による継続的な治療が必要な人です。
具体的にいうと
などが対象になります。
これらの疾患で、継続的な治療が必要というのがポイントです。逆に、継続的な治療が必要と判断されなければ対象外となります。
また、上記以外の疾患でも継続的な治療が必要であれば対象となる場合もあります。詳しくは病院や窓口で相談してみましょう。
自立支援医療(更生医療)の対象者は、身体障害者手帳をもった満18歳以上の人です。
具体的にいうと
などです。
なお、更生医療の対象は「臨床症状が消退し、その障害が永続するもの」と定められています。
自立支援医療(育成医療)の対象者は、18歳未満の身体に障害のある人、または、医療を行わないと将来において障害を残すと認められる人で、手術などの治療によって障害の治療効果が期待できる人です。
具体的にいうと
などです。
自立支援医療の対象となる治療はどのようなものが含まれるのでしょうか。
ここからは「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」それぞれの対象となる治療についてみていきます。
精神通院と呼ばれることもある通り、通院にかかる医療費を軽減してくれます。
具体的にいうと
などです。
一方で、入院費や精神疾患と関係ない症状の医療費、保険外の自費診療費(カウンセリング、診断書など)は自立支援医療の対象外となります。
更生医療と育成医療の場合、該当する障害に確実な治療効果が期待できるものの医療費が対象となります。
例えば、
などと多岐に渡ります。
ただし、入院時の食事療養費または生活療養費は原則自己負担です。
通常医療費は、健康保険を利用し3割負担となります。
しかし、自立支援医療を受けると1割負担へと軽減されます。
例えば、通常は1万円の医療費が健康保険で3割負担となり、3,000円支払っていた場合、自立支援医療を受けると1,000円の支払いで済むということです。
また、世帯所得によって上限が決まり、オーバーする医療費は公費負担となります。
世帯所得の上限は以下の通りです。
【生活保護受給者】
自己負担上限→0円
【市町村民税非課税世帯 年収80万円以下】
月額負担上限→2,500円
【市町村民税非課税世帯 年収80万円以上】
月額負担上限→5,000円
【市町村民税が3万3,000円未満の人 年収約290〜400万円未満】
月額負担上限→総医療費の1割、または高額療養費(医療保険)の自己負担上限額
【市町村民税が3万3,000円〜23万5,000円未満の人 年収約400〜833万円未満】
月額負担上限→総医療費の1割、または高額療養費(医療保険)の自己負担上限額
【市町村民税が23万5,000円以上の人 約833万円以上】
月額負担上限→対象外
重度かつ継続的であれば20,000円
例えば、上限が月5,000円の人の場合を考えてみましょう。
もしこの人の医療費が月8,000円の自己負担となったら、上限から3,000円がオーバーしてしまいます。
その際は、オーバーした3,000円分の医療費は公費負担となり、自己負担するのは上限分の5,000円のみとなります。
対象者にとって有難い自立支援医療ですが、所得によって制限があります。
前述と重複しますが、自立支援医療は市町村民税を基準に医療費負担の上限や対象が決まっています。
対象外となる人は市町村民税23万5,000円以上の人で、年収でいうと約833万円以上の人です。
ただし、「重度かつ継続的」であれば、経過的特例措置として支援を受けられます。上限金額は20,000円です。
自分が対象者かそうでないか迷う場合は、一度窓口で相談して確認するようにしましょう。
最後に、自立支援医療のデメリットについてご紹介します。
経済的なメリットが大きい自立支援医療ですが、使うことで何か不利になることはあるのでしょうか。
まず1つ目に考えられるデメリットは、毎回書類を提示するという手間です。
病院へ受診の際に、「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」を持参しなくてはいけません。
忘れた場合は3割負担となるため、注意が必要です。
2つ目は、制度が使えるのは指定された医療機関のみという点です。
もし自分が通っている病院が制度の対象外であれば、自立支援医療は受けられないため、注意しましょう。
また、精神疾患を持っている場合、できれば周囲にはバレたくないという人も多いと思います。自立支援医療(精神通院)を利用することで、会社にバレたり周囲に知られるということはありませんので、安心してください。
他にも、一部では住宅ローンの団信の審査が不利になるのでは?と心配する人もいるようです。しかし、これも大丈夫です。自立支援医療を受けることで団信が通りにくいということはありません。
ただし、制度に該当する疾患はいずれも告知義務があります。その疾患があることで団信に通りにくい可能性は考えられます。
今回は自立支援医療について、概要から対象者、デメリットをわかりやすく解説しました。
自立支援医療には「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」の3つの制度があります。
それぞれの対象者は以下の通りです。
「精神通院医療」…精神科や心療内科などで治療を受ける疾患を持ち、通院による継続的な治療が必要な人
「更生医療」…身体障害者手帳をもった満18歳以上の人
「育成医療」…18歳未満の身体に障害のある人または、医療を行わないと将来において障害を残すと認められる人で、手術などの治療によって障害の治療効果が期待できる人
該当すれば、医療費は1割負担となります。
所得制限はありますが、多くの人の医療費軽減が期待できます。
制度をまだ利用していない人は、ぜひお住まいの自治体の担当窓口で申請を行いましょう。